Alice｜ecilA

「いや、たとえ気力があったとしても、インクがなかったのです。インクはみんな蒸発して、黒々とした水蒸気になってしまい、もやもやと部屋中にただよっていたのです。それで壁も天井もふた目と見られないほど、まっくろになる始末。今日は少し涼しくなりました。おかげでインクも黒い雪になってインク瓶の中に少しずつ戻っているところです。」………嗚呼。コレ。大先生が少女へ送った手紙を纏めた「少女への手紙」から抜粋な。
どンだけプライバシー侵害しちゃってんのよコレッて云う本なんだが凄え好いの。ま。好すぎて手帳に一々メモってる所為でてんで読み終わる気がしねえんだけど、嗚呼こういう手紙貰えるンなら俺美少女にでも生まれりゃあ好かったわとか胸糞悪ィ事思い至っちゃうのよねー。割かし少女相手にゃあ色ンな意味で大人気ねえ内容な気もすンのに、御茶目で済まされンのが大先生の凄いトコ。例の不思議の国の御話にしたッて少しばかり色眼鏡で見りゃあ大好きな子虐めたい加虐趣味、御話の中でさえ誰にも取られたくないッて云う独占欲とも取れるのに、大先生は何時だって俺等にとってピーターパンの如く純粋な存在な訳。ねえもし逢えたら俺にも御話聞かせて頂戴、大先生様。　…嗚呼気味悪ィにも程が在る。（げらげらげら）


ンで。大先生への思いの丈綴ンのに大分雪を消費しちまッたけど、引けた腰立たせて詐……勧誘して来たらいやはや随分と賑やかになッて、兎さん並に寂しがり屋を自称してる俺は嬉しい限りなんだが。……ンで。網に、あんな……。――や！買うの割かし高かったし、効果が出た事ァ俺にとって好い事だろうと思うんだが、真逆、ンな事ッて、――まあ始めたからには色々用意しねえとな、其れと、ポニテの嬢ちゃん軟派しねえとだッけ？シャポリエさんそう云うの苦手なんだけどもテディベアで釣れねえなら仕方無えもんなあ……そっかあ、１８ッてのは攻略難しいンだなあ……。
其れと。嬢ちゃんトコにも御世話になる事にしたんだが驚く位彼処じゃあ俺ァ役に立たねえのよね、此が。嗚、別に他所で役立ってる訳でもねえけども。配達位なら出来らァ、と思ったもののスカイランナーにゃあ敵わねえ、し………"のんびりした配達専門"とか如何。需要、ない？

妙に肌寒いのは雪が降ったからだと思いたい。
……いやァ、綺麗だッたよな雪？普段クールガイなシャポリエさんですら余り雪の降らない土地に居たからか物珍しくッてついつい年甲斐もなく雪降る夜道を散歩しちゃったりして。　ま、ズボンの裾濡れるわ靴濡れるわでロマンチックな夜にゃあ程遠かったが子供の頃思い出して割かし愉しかったな。嗚呼そういや彼の時は長靴何て云う便利な物使ってたのに何で俺今革靴履いてんだろ退化してんじゃねーのとか。さあ。
……何てしみじみ現実逃避しようとも参加キャラクターリスト一目視りゃシナリオ墜ちたと云う現実がぶり返して来るんだから嫌になッちゃう。　然も何。嬢ちゃん迄墜ちてンじゃねえか。此、嬢ちゃんの"約束"の所為じゃあねえ、よな、あ？………ま。ンな過ぎた事ァ如何でも好い。今俺が最も重要視すべきは肖像画のリクが受理されるか否か。
つッても正直てェんで自信が、無い。マジで。今日も今日とてポストの開閉を脅迫的に繰り返してンの。病気だコレ。仕方ねえからほら、神頼みでもしようッて思って"エホウマキ"ッて奴頬張りつつ祈ッて来たンだけどよ。………ぴんぽんぱんぽおん。かンわいいマドモアゼル達に忠告です。


ひとおつ。
よい子は目前の事ばかりに気を取られてはいけません。もっと自分の為になる事祈りましょうね。
ふたあつ。
よい子はエホウマキに醤油をかけてはいけません。頬張ってる時に垂れて来て酷い事になります。
みいっつ。
よい子は頬張る前に考えてる事を口にだす癖を直しておきましょうね。頑張っても水の泡です。

あー、叶う気しねえ。

気だか手だかは知らねえけど、どッちにせよ早過ぎるッてレベルじゃねえぞと云う話だが。

あンの厄介な嬢ちゃんと足並み揃えて登録したかと思えば（其の割にIDの数の差が大分在るのに驚きを隠せない俺）、腰下ろして紅茶も飲む暇も無く直ぐに床に頭擦り付けて肖像画依頼して、好し酒場で寛ごうと思えば何時の間にか依頼間迄受けてる訳よ――なにこれこわい職業病？
とは云えども、肖像画はリクエスト段階。依頼も参加予定に過ぎねえし、気合い入れた割に初っ端ニートの可能性が在るけども。と云うか其の可能性高いけれども。………！（無言で信心深さの一欠片も無い土下座）


嗚。序でに、俺の参加予定なシナリオは「甘い誘惑のその先に」だと。（序での序でに彼の女は「花嫁の弟」。刺すのは姫の方ですよ人形姫だの云ってたが如何云う意味かは知ったこっちゃねえや、つーか関わりたくねえ）………ンだよ。云っておくが下心何ざ角砂糖一つ分もねえからな。……そりゃあちィとばかし羨ましいけど真面目に行くに決まってるだろうが。だあって、いや、ホラ。何つーか、けしからんだろ、嗚呼云うの。男の純情踏みにじるッてのは何依りも罪深い事だとシャポリエさんは思うのよ、つーか明日は我が身で―――（言葉尻を濁らせた）―――ま、兎にも角にも俺等に好い終わりが在ります様に。待つべし、結果。俺は其れ迄紅茶でも啜って待ってら。


（追記）
………お客様１人につき１キャラクター、ッてのを完璧に見逃してやんの。どーしよッかねこれ。